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第三者からの情報取得手続(債権回収)

改正された民事執行法が令和2年4月1日から施行されていますので、今回は、新設された「第三者からの情報取得手続」について説明します。

第三者からの情報取得手続の内容

今回の改正法では、債務者以外の第三者から、債務者の財産に関する情報を開示してもらう手続が新設されました。具体的には、債務者の預貯金等に関する情報、債務者の不動産に関する情報、債務者の勤務先(給与)に関する情報を取得できる手続が新設されました。
金銭の支払いを命じる判決などの債務名義を取得したものの、債務者の財産に関する情報も持っていないがために強制執行することができず、債務者から任意の支払いを受けることができない場合には、権利の実現を諦めざるを得ない場合もありました。しかし、新設された第三者からの情報取得手続を利用し債務者の財産に関する情報を取得することができれば、債務者財産へ差押えを行うことができます。このように第三者からの情報取得手続を通じ金銭債権が実現していくことが期待されています。

預貯金等に関する情報取得手続

債権者は、銀行や信用金庫などの第三者に対し、債務者が有する預貯金等に関する情報の開示を求めることができるようになりました。
ただし、債権者において照会先となる金融機関等を特定する必要があり、照会先を1つ増やすごとに予納金を4000円加算し支払う必要がありますので、ある程度は紹介先を絞って行う必要があります。

不動産に関する情報取得手続

債権者は、法務省令で定める登記所に対し、債務者が所有権等の登記名義人となっている土地・建物についての情報の開示を求めることができるようになりました。
ただし、本手続は、預貯金等に関する情報取得手続と異なり、財産開示手続が実施されていることが前提として必要であり、当該財産開示期日から3年以内に行う必要があります。
なお、不動産に関する情報取得手続は令和3年5月16日までに開始予定です。

勤務先に関する情報取得手続

債権者は、市町村、日本年金機構や国家公務員共済組合などの第三者に対し、給与所得者の勤務先情報の開示を求めることができるようになりました。
ただし、本手続は、不動産に関する情報取得手続と同様、財産開示手続が実施されていることが前提として必要であり、当該財産開示期日から3年以内に行う必要があります。
また、情報の秘匿性の高さから、本手続の申立を行うことができる債権者は、上記2つの情報取得手続と異なり、養育など扶養義務等に係る定期金債権や、人の生命身体の侵害による損害賠償請求権を有する債権に限られます。

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